「ミスタープロ野球」として日本中から愛された長嶋茂雄さんが亡くなった。ミスターが最後に公の場に姿を見せたのは3月15日のことだった。東京ドームでのMLB開幕シリーズに先立って行なわれた巨人対ドジャースのプレシーズンゲームを観戦に訪れている。大谷翔平はその時に撮ったツーショットを公開した。巨人軍関係者が言う。 2i294d
【写真】短パン、サンダル姿の清原和博氏。ふくらはぎにはタトゥーが
「ドジャース戦の観戦について、病院側はいい顔をしなかったといいます。その後、3月28日に東京ドームで開催された巨人対ヤクルトの開幕戦も観戦に訪れる予定だったが、急遽取りやめになっている。5月初めに一時、ICUへ入るなど大きく体調を崩した。そのあと回復したが、亡くなる数日前から血圧が下がっていたため、再びICUでの措置が続いていたといいます」
ミスターは2004年の脳梗塞による緊急入院、2018年の胆石が見つかったことに伴う長期入院、2022年の脳出血による入院など、何度も病に倒れたが、そのたびに復活してファンの前に姿を見せた。そこには“球界のロイヤルファミリー”とも呼ばれた家族の支えがあったが、その内実は紆余曲折を経たものでもあった。
「2004年に倒れた時は壮絶なリハビリを亜希子夫人たちが支えました。読売グループはミスターと巨人との橋渡し役とするために長男・一茂氏を2005年に球団代表特別補佐に就任させた。それだけミスターが必要とされていたということ。
ミスターも自分が頑張れば世の中も変わると考えて家族が見守るなかで懸命のリハビリを続け、それがテレビ番組のドキュメンタリーにもなった。そうすることで同じ境遇の人に勇気を与えるという意識もあった。ミスターが劇的に回復した後、一茂氏は特別補佐を退任しています」(長嶋家を知る関係者)
「喪主を務めるのは次女の三奈さん」 1a1a32
その後、2007年に亜希子夫人が亡くなり、2018年7月に緊急入院した際に懸命に看病したのは次女の三奈さんだった。
「2004年のミスターが脳梗塞で倒れた時の考え方の違いから、一茂氏と三奈さんとの間には距離ができていた。2018年の入院時は関係者の間でもとにかく三奈さんの献身的な看病が知られていたため、同年8月になって三奈さんが夏の甲子園にレポーターとして登場すると、翌日には各社が一斉にミスターの入院と快方に向かっていることを報じたほどです」(前出・巨人軍関係者)
ミスターが亡くなる直前も、三奈さんが寄り添っていたという。
「病室に入れるのは家族だけで、もちろん一茂氏も見舞いに訪れたが、三奈さんが中心に看病していた。個人事務所オフィスエヌの代表を三奈さんが務め、親族の合議制で運営していた。読売新聞との話し合いも三奈さんが仕切り、喪主も三奈さんが務めることとなりました」(同前)
6月3日午後、弔問に訪れた王貞治氏を一茂氏と三奈氏が揃って迎えた。様々な困難を乗り越えてきたミスターはその光景をどんな思いで見つめただろうか。
※週刊ポスト2025年6月20日号