DEHPにさらされることが、世界的に年間およそ35万6000件の心臓病による死亡と関連しているとみられるという研究結果が出た。DEHPは、さまざまなプラスチック製品に使用される化学物質だ。 2l212j
米国ニューヨーク大学(NYU)のLangone Health研究チームは、世界およそ200カ国・地域の健康・環境情報を活用し、DEHPにさらされることと心血管疾患の関係を分析した結果を4月30日、医学医療科学総合誌「EBioMedicine」に発表した。
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DEHPは、プラスチックをやわらかく柔軟にするのに使用される成分だ。食品容器、医療装備、化粧品、洗剤、溶剤など、さまざまな製品に広く使用されている。すでに多くの研究で、DEHPにさらされると健康に悪影響を及ぼす恐れがあることが分かっている。
研究によると、DEHPが微細粒子に分解され、体内に摂取されると、不妊やがんなどのリスクを高める恐れがあるという。また、心臓から送り出された血液を全身に運ぶための血管である動脈において炎症を誘発し、心臓まひや脳卒中の発症率を高める。2021年、同じ研究チームによる研究では、DEHPにさらされることが、米国で年間5万件以上の老年層の早期死亡と関連があるという結果が出た。
研究チームは今回の研究で、各地域のDEHP露出水準を推定し、死亡率のデータを利用して心血管疾患による死との関連性を調べた。その結果、2018年に全世界で発生した35万6238件の心臓疾患による死とDEHPにさらされることには関連があることが分かった。
DEHPにさらされることによる心臓疾患での死亡事例を地域別に見ると、中東や南アジアが全体の42%を、東アジアや太平洋地域が全体の32%を占めた。国家別の死者は、インドが10万3587人で最も多く、中国(6万937人)とインドネシア(1万9761人)が後に続いた。
研究チームは「こうした結果は、2018年に55-64歳の男女全体の心臓病による死亡率にDEHPへの露出が13%以上影響を及ぼしていたことを意味する」とした上で「インド、中国、インドネシアの場合、プラスチック生産がブームとなっているが、規制がほかの地域に比べて甘いため、DEHPなど化学物質にさらされる比率がよりいっそう高い可能性がある」と説明した。
さらに「DEHPにさらされることによる心臓疾患での死亡は、世界的に5100億ドルの経済的負担を与えると推算された。被害額は最大3兆7400億ドルに達する可能性がある」とした上で「急速な産業化とプラスチック消費が進んでいる地域を中心に、化学物質にさらされるのを減らす措置が急がれる」と主張した。
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