金秀商事が13日、随意契約(随契)で調達した政府備蓄米を県内で初めて販売した。随契の備蓄米の流通が全国で本格化してから約2週間。県内では輸送費の高騰なども含めてコメ価格が高止まりしている中、県内の消費者の関心も高まった。今後、他のスーパー、コンビニ各社も販売を予定している。ただ、離島県の沖縄では県外より物流や精米の逼迫(ひっぱく)が影響しており「具体的な販売について調整に時間がかかっている」との声も聞こえる。(政経部・川野百合子、玉城日向子)

備蓄米を店員から受け取る買い物客=13日午後3時3分、糸満市・タウンプラザかねひでいちゅまん市場(小宮健撮影)
備蓄米を店員から受け取る買い物客=13日午後3時3分、糸満市・タウンプラザかねひでいちゅまん市場(小宮健撮影)

 政府が備蓄米を初めて放出した3月18日から、およそ3カ月たった。県内では4月28日から、江藤拓前農林水産相時代に一般競争入札で放出された備蓄米が、ブレンド米として3500円前後で販売されている。ただ、随契で放出された備蓄米は2千円台と安く、消費者の関心は高い。

 サンエーと、そのグループのローソンは既に販売開始時期を発表した。サンエーの担当者によると、ブレンド米の販売は「好調」。19日午前9時から店頭に並ぶ随契での備蓄米を見据えた買い控えもないという。

 フレッシュプラザユニオンを運営する野嵩商会の担当者は「早ければ26日にも販売する」と回答。具体的な販売時期は未定だが、イオン琉球やコープおきなわも取り扱う。ファミリーマートやセブン-イレブンは、東京の本社が申請した分が分配される予定だ。

 一方、全国的に備蓄米の流通の滞りや、小売事業者と精米を手がける卸売業者をどうつなげるかが課題となっている。

 離島県の沖縄では、精米をして保管ができる業者が限られ、備蓄米以外のコメも手がけるため、一度に対応できる数量には限度がある。随契の備蓄米は、精米・保管の調整を終え、政府に伝えた後に調達が可能となるため、調整が滞ると、その分遅れが生じる。沖縄へは船で輸送するという時間的ロスも加わる。陸続きで融通できる県外と比べ、影響の度合いが一層大きい。

 コープおきなわの担当者は「2千円台を目指したいと思っているが、販売時期や価格は未定。なかなか流通が手配できない」と明かす。イオン琉球の担当者も「毎日のようにお客さまから、いつから備蓄米を販売するのか問い合わせがあるが、具体的な時期を明示できず、もどかしい」と話す。

 今回、県内で初めて備蓄米を販売した金秀商事は次回入荷は未定とする。サンエーは販売開始後は、週に数回の入荷を予定しているが、店舗によって取り扱う数は変わり、どの店舗でどれくらい販売するかは公表しないという。県内の幅広い世帯に備蓄米が届けられるには、なお時間がかかりそうだ。