(ブルームバーグ): 日本銀行の植田和男総裁は3日、今月の金融政策決定会合で議論する来年4月以降の国債買い入れ方針について、市場参加者からは減額が適切との意見が多いとの認識を示した。半期に一度の「通貨および金融の調節に関する報告書」の概要を参院財政金融委員会で説明した後、質疑応答を行った。 4a2645
植田総裁は、先月20、21日に実施した債券市場参加者会合に関して、来年4月以降も従来通り、これまでと同様に予見可能性と柔軟性のバランスを取りつつ、「国債買い入れ額を減らしていくことが適切という声が多く聞かれた」と説明。具体的な減額ペースについてはさまざまな意見が見られたとした。
日銀は今月16、17日の会合で、昨年7月に決めた2026年1-3月までの国債買い入れ減額計画の中間評価と同年4月以降の買い入れ方針を議論する。超長期金利が乱高下するなど国債市場で神経質な取引が続く中、植田総裁が減額が適切との市場参加者の多数意見を紹介したことで、会合に向けて市場の思惑が高まりそうだ。
現在の計画では、昨年7月末の5.7兆円程度から毎四半期に4000億円程度ずつ減らし、来年1-3月に月間2.9兆円程度とする。日銀が2日に公表した参加者会合の議事要旨によると、月間の国債買い入れ額についてゼロから現行計画の3兆円程度まで幅広い意見が示された。
植田総裁は超長期金利の急騰による日銀政策への影響については、金利変動が経済に及ぼす影響の大きさは「超長期の金利よりも短期から中期の金利の影響の方が大きい」と指摘。その上で、超長期金利の変動が長期や短期、中期の金利に影響を及ぼす可能性もあるとし、市場や経済への影響を引き続きよく注意して見ていく考えを示した。
不確実性 1h1s6z
金融政策運営に関しては、日銀の経済・物価見通しが実現していく確度の高まりに応じて、利上げで金融緩和度合いを調整していくとした。将来の利下げ余地をつくるために「経済・物価情勢の改善が見込めない中で、無理に政策金利を引き上げる考えはない」と言明。先行きの政策運営を予告したり、利上げを決め打ちしたりすることはないとも述べた。
政策判断で重視している基調的な物価上昇率については、引き続き2%を若干下回っているとし、このため緩和的な金融環境を維持していると説明した。先行きは米関税政策の影響などを受けて「いったん足踏み」するものの、その後は2%に向けて徐々に高まっていくことが中心的な見通しだと語った。
もっとも、各国の通商政策を巡る不確実性は引き続き極めて高いとし、中心的な見通しも大きく変化しうると指摘。見通しが実現していくかは、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、「予断を持たずに判断していくことが重要だ」と繰り返した。
東京外国為替市場の円相場は、植田総裁の発言を受けて、1ドル=143円台前半に下落している。引き続き各国の通商政策巡る不確実性は極めて高いなどとした発言がハト派的と受け止められ、ドルの買い戻しが優勢になっている。
トランプ関税による内外経済の減速懸念を踏まえ、日銀は5月1日の金融政策決定会合で現状維持を決めた。政策正常化路線を堅持しているが、市場の早期利上げ観測は後退している。
他の発言 k3b4z
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--取材協力:氏兼敬子、横山恵利香.
(質疑応答での発言や為替相場の動きを追加して更新しました)
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