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【コラム】金子達仁 5d5s2g

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「三笘、伊東がいれば」と感じずにすんだ インドネシア戦 54v1

[ 2025年6月11日 11:00 ] 3b4g3h

26年W杯北中米大会アジア最終予選   日本 6-0 インドネシア ( 2025年6月10日    パナソニックスタジアム吹田 )

<日本・インドネシア>後半、ドリブル突破する三戸(左)(撮影・椎名 航)
Photo By スポニチ

 一見、単純で簡単な鎌田の先制点だった。左サイドを崩した三戸からのクロスをノーマークの鎌田が頭で合わせた――字に直せばそんな感じになる。

日本6-0インドネシア・試合詳細

 簡単?単純?とんでもない!

 三戸がサイドを破りかけた時、鎌田はニアサイドにいた。彼は、そこから斜め後方に走った。サイドからの突破に対し、ファーサイドから勢いよく走り込むのが定石だと思い込んでいたわたしは、面食らった。おそらく、それはインドネシアのDFも同じだったに違いない。彼らはボールホルダーを注視しつつ、背後から走り込んでくる気配にセンサーを研ぎ澄ませていた。それゆえに生まれた、鎌田に対するノーケアの状況だった。

 簡単、単純に見えたゴールは、実は、たっぷりと叡智(えいち)の詰まったものだった。

 日本とインドネシア、両者の実力差を考えた場合、このゴールで勝負はほぼ決した。ただ、それでもインドネシアはキレてラフプレーに走ったりしなかったし、日本の集中力も途切れなかった。それが、試合が最後まで熱を帯びていた大きな要因だった。

 世界のどこのサッカー教本を探しても、「相手にシュートを1本も打たせない方法」は見つけられまい。そもそも、そんなことをする指導者がいるとも思えない。実際、1部対4部の試合であっても、一方のシュートがゼロに終わるということはまずないのが、サッカーというスポーツの常でもある。

 だが、この日の日本は教本にもないであろうことをやった。W杯の最終予選でやった。中国やサウジアラビアに勝ったインドネシアを相手に、やった。その様は、ほとんど無慈悲といってもいいほどだった。

 インドネシアにとって不運だったのは、この日の相手が、前の試合で黒星を喫していた、ということだろう。最初のゴールスコアラーは、パースで決勝点のきっかけとなるミスを犯した選手でもあった。鎌田だけではない。この日ピッチに立った日本の選手は、およそW杯出場を決めている国とは思えないほど、危機感に満ち満ちていた。

 7―0の圧勝に終わった中国戦でさえ、終盤の戦いぶりにはいささかの緩みがあった。この日は違った。個人的には、三笘や伊東がいない試合で、初めて「三笘、伊東がいれば」と感じずにすんだ試合だった。

 日本は、強くなった。最終予選の10試合を経て、確実に層の厚さを増し、両サイドの切り札以外の攻めの形もつかみつつあることを、最後の最後で証明した。タテに差し、ダイレクトの落としに俊敏な技巧派たちが飛び込んでいくやり方は、むしろ大柄な選手の多い欧州勢相手の方が効果を発揮するかもしれない。

 先週のオーストラリア戦では「本大会でどうしても見たい選手が見当たらない」と書いたが、今回の印象はまったく違う。それどころか、遠藤と佐野兄の圧倒的な支配力を目の当たりにして、それ以外のコンビはありえるのだろうか、とまで思わされてしまった。町野と久保の間に芽生えつつある化学変化も、捨て去ってしまうにはあまりに惜しい。最終ラインの安定ぶりも冨安や板倉の名前を失念させられるほどだった。

 とにかく、日本の強さばかりが際立った試合ではあったが、最後まで試合を投げなかったインドネシアの選手とファンには賛辞を贈りたい。戦うたびにそのプレーやファンの振る舞いでアンチを増やしていく国とは、まったく違っていた。来たるべき4次予選での健闘を期待する。(金子達仁=スポーツライター)

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