■6月11日 一体、この組織はどうなっているのか首をひねるばかりだ。日本オリンピック委員会(JOC)は10日の理事会で前会長の竹田恒和氏(77)を名誉会長に祭り上げようとした。東京五輪招致を巡る贈賄容疑でフランスの司法当局の捜査対象になり19年6月に会長を退任した人。審議の結果、保留になったがJOCの信用を失墜させた〝不名誉〟の張本人がなぜ…。 92r5g
時期的には任期満了で退任する山下泰裕会長(68)の後任選びと符合する。26日の評議員会で新理事を選出し同日中に理事会の互選によって次期会長が決まる。地盤沈下が著しいJOCの会長に誰がなっても世の中の関心はほとんどなさそうだが、情勢は大詰めらしい。
当初は日本サッカー協会前会長の田嶋幸三氏(67)が有力視されたが、元五輪相の橋本聖子氏(60)が急速に巻き返したとか。ある関係者は「日本のスポーツ界を牛耳る2人の超大物がそれぞれのバックにいて、竹田氏を支えた一派が橋本氏を推している」と話す。唐突な「名誉会長案」にはそれらが関連しているのか、と勘ぐりたくもなる。
女性会長といえば、IOCではジンバブエ出身のコベントリー氏が女性初の会長に就任する。もし橋本氏が女性初のJOC会長になったらそれも意義はある。とはいえ、今夏に参院選を控える橋本氏は自民党から1年間の役職停止処分を受けた裏金議員。世間は忘れてはいないだろう。
山下会長は23年10月末に頸椎を損傷。以後三屋裕子副会長が会長代行を務めたものの、山下氏に忖度(そんたく)してか会長交代はなく昨夏のパリ五輪も会長の姿はなかった。ふだんはまるで存在感がないJOC。こういう時だけはやる気十分なのも困ったものだ。(今村忠)