韓国の李大統領、対北朝鮮の軍事宣伝放送中止を指示 緊張緩和へ転換

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ソウル=清水大輔 貝瀬秋彦
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 韓国軍は11日、南北の軍事境界線付近で北朝鮮に向けて実施してきた拡声機による軍事宣伝放送を中止した。李在明(イジェミョン)大統領が指示した。韓国政府は北朝鮮に向けたビラ散布も中止するよう市民団体に求めており、南北の緊張緩和と対話に向けた新政権のメッセージとみられている。

 大統領府報道官によると、李氏は11日午後2時をもって軍事宣伝放送を中止するよう指示。報道官は「南北関係の信頼回復と韓(朝鮮)半島の平和定着のため」とし、対抗して北朝鮮が出す騒音による地域住民の苦痛を和らげるための実質的な措置でもあるとした。北朝鮮側との事前協議はなく、緊張緩和のための先制的な措置だとしている。

 北朝鮮は昨年、韓国の脱北者団体が北朝鮮に向けて体制批判のビラなどを飛ばしたことに反発し、ゴミなどをくくりつけた風船を韓国の方向へ飛ばした。尹錫悦(ユンソンニョル)政権下の韓国軍はこれに対抗する形で、昨年6月に約6年ぶりに軍事宣伝放送を再開していた。

 李氏は今回の大統領選の期間…

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この記事を書いた人
清水大輔
ソウル支局
専門・関心分野
日韓・日朝関係、分断と対話、戦争と平和
貝瀬秋彦
ソウル支局長
専門・関心分野
朝鮮半島、東南アジア、核問題、人権問題
  • 西野純也
    (慶應義塾大学教授・東アジア研究所長)
    2025年6月12日1時55分 投稿
    【解説】

    朝鮮半島の軍事的緊張緩和を目指す李在明政権が初めて具体的措置をとったことになる。さらに進んで李政権が目指すのが、2018年9月に南北で合意されたが2024年に事実上効力を失った軍事合意の復元である。今後、李政権は北朝鮮に対話を呼びかけるだろ

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