「政府は主食の米に責任持て」 農民連が緊急行動2025年6月11日
農民運動全国連合会は6月11日、「政府は国民の主食・米に責任を持て」をアピールする緊急行動を東京・霞が関の農水省前で行った。
米に責任を持てとシュプレヒコール。東京・霞が関の農水省前。
農民連の長谷川敏郎会長は「昨年の春先から米不足を指摘してきた」として備蓄米の放出を求めたが、当時の坂本農相は「新米が出れば落ち着くと嘘を言った」と批判した。
結局、3月から備蓄米を売渡し、とくに小泉農相は高騰した米価を落ち着かせると表明し随意契約で60kg1万円程度で放出している。
この点について長谷川会長は「政府は市場に介入しないというルールは誤り。その点、小泉大臣は米価格の安定のために政府が介入するべきだと実践した。その通りだ」と一定評価するものの、今回の事態については「2022年産からの減反の強化と、需要見通しの大幅な見誤りから、深刻な米不足が発生した。これはまさに政治災害。小泉大臣は与党の一員としてこの失敗を認めるべき。自らの政権の失敗で米価高騰を引き起こし、その火消しの先頭に立っているからという政治利用はやめてほしい」と強調したうえで、備蓄米について早期に100万tまで回復する道筋を示すべきだと訴えた。
また、農村では長年の低米価によって離農、廃業に歯止めがかからず米の生産基盤が著しく衰退していることや、米流通を支えてきた町の米穀店が米を仕入れることができずに、急廃業を余儀なくされている深刻な事態も指摘した。
一方、25年産は40万tの増産という見込みがあるなか、備蓄米の放出で価格の下落も懸念され「このままでは農家が一生懸命増産したのに責任をまた農家に押し付けられる過去の過ちを繰り返すことになる」と危機感を募らせ、「これまでの米政策を改めて農家が安心して米の増産に取り組める政策をただちに明確にし、同時に消費者米価が安定し安定的に供給されるよう求める。トランプ関税で米を交渉カードに差し出すことは絶対に反対」などと語った。
参加した消費者は「5kg2000円台をという声が多いが、これでは生産者はやっていけない。その差を埋めるのは政府の責任。備蓄米が底を尽いたら輸入という話も出ているが私たちは国産米を食べ続けたい。国は安定供給と価格の安定に責任を」などと述べた。
集会には米の小売店が組織する日本米穀商連合会の相川英一専務がメッセーを寄せた。
相川氏は今年1月にはスポット価格が60kg4万円、3月には同5万円となるなど「異常事態となり、今も米の仕入れができないで困っている米穀店が多くある」と実態と伝えた。
現在、備蓄米がなかなか出回らない理由として「食糧法によって過度な自由競争や効率化で今までのサプライチェーンが寸断されたから。米穀店は生き延びるため卸売業者から生産者に(仕入れw)シフトした。備蓄米を全農に出しても目詰まりするシステムになっている」と指摘した。
一方で随意契約で1万円で売渡しが進むなか、米穀店には競争入札で落札された2万円の備蓄米は届いておらず流通現場は混乱しているという。
相川氏は今後の米政策について「大規模化が重要と言われるが、大規模も一部では限界に来ている。むしろ中小・零細の生産者に光を当てることが重要で米を増産し国民に安心感を与え、米穀店も持続できるようにすることが重要だ」などと訴えた。
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